カメラのダイナミックレンジ・その意味と拡張する方法

カメラのダイナミックレンジ・その意味と拡張する方法

ダイナミックレンジ

素晴らしい景色に出会ってシャッターを切り、後で家で見返したときに何か違うと思ったことが、カメラ好きなら何度もあると思います。それには技術的なまたはカメラの性能的な様々な問題がありますが、今回はそもそもの人の見た目とカメラの能力的違いについて、そしてダイナミックレンジについてお話したいと思います。

これを知っておくと、撮影時のカメラの露出絡みの設定で「あれ?なんかか違う」体験を減らすことができます。

ダイナミックレンジとは

まずは人の見た目とカメラの違いについて説明したいと思います。写真を撮っていて、以下のような状況になったことがあるかと思います。

真夏の太陽が照りつけるなか、日向と日陰それぞれに立つ二人の写真を撮りたい。このとき、人の見た目では、日向の人物が肌色、日陰の人物が暗めの肌色に見えているとします。

コントラスト説明・人

露出設定を日向の人物に合わせると日陰の人物は真っ黒になります。

コントラスト説明・カメラ2

逆に日陰の人物に露出を合わせると、日向の人物は逆に真っ白になります。人の目にはそのようには見えないのになぜでしょうか?

コントラスト説明・カメラ1

これは、人とカメラのダイナミックレンジが異なるためです。ダイナミックレンジとは、識別可能な真っ白から真っ黒までの範囲の広さのことで、人よりもカメラの方がダイナミックレンジが狭いため、上記のようなことがおこります。

ダイナミックレンジに関しては、カメラよりも人の目の方が優秀と言うことです。凄いです。人。つまり明暗差においては、カメラの性能上、人が見たのと同じように撮影することは不可能ということです。その大前提を覚えておきましょう。

人よりもカメラの方がダイナミックレンジが小さいため、白飛びや黒つぶれが生じます。しかし、その代わりにカメラには人にはない機能があります。カバーできるダイナミックレンジの領域を変えることができます。

どういうことでしょうか。図を用いて説明しましょう。左の縦棒が人が識別できる真っ黒から真っ白の幅(ダイナミックレンジ)で、真ん中の短い縦棒がカメラのダイナミックレンジです。

カメラの方が狭いのですが、右のようにダイナミックレンジの幅を維持して領域を変えることができます。これがカメラ設定の露出を変えることに相当します。

ダイナミックレンジ

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ダイナミックレンジを拡張する方法

露出を変えることで白飛びないし黒つぶれを解消することができます。露出の調整だけですと、そのどちらかしか解消できませんが、別の手法で両方を解消することもできます。

方法1:HDR機能を使う

hdrとはハイダイナミックレンジのことで、その名の通りダイナミックレンジを拡張する機能のことです。カメラメーカーごとに呼び名は異なりますが、ニコンであればカメラのメニューの中に「HDR(ハイダイナミックレンジ)」「アクティブD-ライティング」と呼ばれる機能があります。

どちらもダイナミックレンジを拡張する機能には変わりは無いのですが、その画像の生成方法が異なります。「HDR(ハイダイナミックレンジ)」は露出の異なる写真を合成して、本来黒潰れ、白飛びするはずの領域の階調を再現する方法です。

対して「アクティブD-ライティング」とは、この後述べますが、撮影した画像を後からレタッチ的に暗部を明るくする方法です。

「HDR(ハイダイナミックレンジ)」は自然な写真になりにくいので正直あまり出番は無いと思うのですが、「アクティブD-ライティング」はコントラストがつきすぎてそれを避けたい場合には重宝します。

「アクティブD-ライティング」と「HDR(ハイダイナミックレンジ)」を適用すると以下のようになります。「アクティブD-ライティング」「HDR」ともに、「無し」「弱め」「標準」「強め」「より強め」の5段階を設定できます。画像は「アクティブD-ライティング」の「無し」「標準」「より強め」の3つと、「HDR」の「より強め」です。

「アクティブD-ライティング」が「無し」の写真は葉っぱがかなり暗いですが、「標準」「より強め」になるに従い、明るくなり階調が再現されているのが分かります。一方で鉢の白飛びの程度は変わりません。「HDR」の「より強め」はその傾向が極端に強調されています。ですが、葉っぱと鉢の輪郭がぼんやり黒ずんでおり写真としては破綻しており、使い方に注意が必要です。

・アクティブD-ライティング:無し
アクティブD-ライティング無し
・アクティブD-ライティング:標準
アクティブD-ライティング標準
・アクティブD-ライティング:より強め
アクティブD-ライティングより強め
・HDR:より強め
HDRより強め

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方法2:レタッチする

ダイナミックレンジを拡張するもう一つの方法はレタッチです。レタッチにも色々手法がありますが、ニコンのCapture NX-Dならシャドーを持ち上げることで簡単に黒つぶれ(ぎみ)な箇所を明るくすることができます。

ダイナミックレンジの拡張に関してこちらで詳しく解説しています。

必ずしも、ダイナミックレンジが広い=良い写真ではない

ダイナミックレンジが広いことが必ずしも良い写真とは言えません。これ重要です。ダイナミックレンジが拡張されますが、その適用の仕方によってはメリハリのない写真になってしまうこともあります。あえてだいたんに黒つぶれ、白飛びを生じさせるのも表現の一つです。

重要なのはカメラの特性を理解し、シーンにあった設定ができることです。なので、今回お話したことは知っておいた方が良いというより知っておくべきことと言えるでしょう。

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