皆さんはかすみ除去という機能をご存知でしょうか。LightroomやPhotoshopで使える機能で、風景写真などで青くかすみがかったものを補正することができる機能です。
これらのソフトでは、スライドバーの調整一つでかすみを除去することができますが、残念ながらCaputre NX-Dにはそのようなパラメータはありません。
ですが、既存機能の組み合わせによってかすみを除去することができます。
今回はその具体的方法をご紹介したいと思います。
かすみとは何?
例えば、あるイマイチの写真があったとします。そのイマイチな理由が「暗い」のなら明るくすれば写真は改善されます。なので、かすんだ画像についても、具体的に何が悪いのかが明確になればの悪さを打ち消す処理をしてやればかすみが除去できると考えられます。
この山の写真、かすみがかってますね。今回はこの写真のかすみ除去していこうと思います。まずは、かすみがかったことによってどのような状態になっているのかを書き出してみましょう。
青い
まずは青い。明らかに青いです。よって青さを抑えるか、もしくは山の緑系を強める必要がありそうです。
メリハリが無くて薄い
次に、メリハリが無いです。メリハリとは言い方を変えるとコントラストのこと。つまり、コントラストが低いので、それを上げてやれば良さそうです。そして、薄い。メリハリが無いと似ていますが、全体的に薄いです。コントラストを上げて暗くした方が良さそうです。
鮮やかさがない
全体的に鮮やかさが足りてません。要は彩度です。彩度も上げるべきですが、Capture NX-Dはコントラストを上げると彩度も上がるので、そちらでコト足りるかもしれません。
Capture NX-Dの彩度、コントラストの使い方に関してはこちら。
ボンヤリしている
山のシルエットやディテールが不明瞭なので、エッジを強調したいところです。Caputre NX-Dのアンシャープマスクが使えそうです。
Capture NX-Dのアンシャープマスクの使い方に関してはこちら。
実践
以上を踏まえて、かすみ除去をやってみましょう。
青さを取る
まずは青さを取ります。rawデータであればホワイトバランスを調整すれば良いのですが、ここはjpgデータを考えます。
jpgではホワイトバランスや色温度調整はできないので、代わりににレベルとトーンカーブを使います。青のトーンカーブの中間調を下げます。そして緑を少し上げます。
ホワイトバランスの調整に関してはこちら。
以上の調整を行った画像がこれです。少し緑系に転びすぎている感もありますがとりあえずこれでOKです。
メリハリを出して、濃くする。
次にメリハリを出すべく、コントラストを上げます。ここは大胆に50まで上げてみました。いかがでしょうか?だいぶ、いい感じになってきました。
ですが、まだ薄さが気になります。薄さを解消するには明るさを下げてやればよいので、10ほど下げてみたところ、陰影のメリハリがついてなかなか良い感じになりました。
このあと、さらにシャープさを出すためにアンシャープマスクを適用して完成です。とりあえず適用量90にしてみました。適応量は画像サイズにも依存するので、適用後の画像をみつつ調整してみて下さい。
かすみ除去前後の比較
以下がかすみ除去前後の比較です。
いかがでしょうか。かすみ除去を行う前は青くてメリハリが無くかなり残念な写真でしたが、Capture NX-D流かすみ除去を行うと、かなり写真が改善されました。
今回の処理はすべて画像全体に付加させていますが、カラーコントロールポイントでさらに局所的に微調整を加えれば、さらにクオリティーは上げられます。
Lightroomのようにスライダーの調整一つ、というお手軽さはありませんが、Capture NX-Dでも同様の効果が得られることが分かりました。
内部的に何をやっているか分からないけどボタン一つで加工するよりも、画質的に何が問題でどのようにパラメータを調整すべきかを理解した上で加工した方が、スキル向上に役立つことは言うまでもありません。
今回はCapture NX-Dを用いましたが、今回行った処理は一般的な画像処理ソフトなら搭載されている機能だと思います。ぜひ、セルフかすみ除去をやってみて下さい。
ちなみに、ペイントショップを用いたかすみ除去の手順の紹介はこちら。
かすみ除去の方法
- ホワイトバランスの調整(青を下げる)
- コントラストを上げる
- 明るさを下げる
- アンシャープマスクを適用する
参考
Capture NX-Dについて書かれた本はあまりないのですが、基本的な操作はこちらに参考になります。
カメラのしくみについて書かれた本って意外と少ないですが、この「カメラとレンズのしくみがわかる光学入門」はイラストがたくさんあって分かりやすいです。
が、かわいいイラストに騙されてはいけません。書いていることはけっこう専門的です。
もっと複雑なレタッチの場合はPhotoshopがおすすめ
今回のレタッチは結構うまくいったと思います。ですが、もっと複雑なレタッチが要求される場合はCapture NX-Dだとキツいです。
例えば、この画像。

この画像に対して、以下のようにレタッチをしたいとします。
・遠景の山のかすみを撮りたい
・画像全体をもっと明るくしたい
・空の青さももう少し強調したい
画像の左がCapture NX-Dで処理したもの、右がPhotoshopの画像です。
■(左)Capture NX-Dで処理、(右)Photoshopで処理した画像比較
いかがでしょうか。Capture NX-Dは細かく領域を指定して処理をすることができません。カラーコントロールポイントで山のかすみの除去をしようと思うと、どうしても空の色調も影響を受けます。
そしてCaputre NX-Dは画像を明るくしたことで雲が白飛びし、鮮やかさやメリハリが低下しています。
ですが、hotoshopは明るさを上げつつも鮮やかさやメリハリを強調できています。
このように、複雑なレタッチになればなるほど、Capture NX-Dでは対応できなくなりPhotoshopが有効になってきます。
以下の記事で、Caputure NX-Dではできず、Photoshopでできることをまとめています。よろしければご参考に。
Photoshopは月額980円ですが、Lightroomも使えてお得。試しに使ってみてはいかがでしょうか。
「写したままから、感じたままへ。」のコピーはダテではありません。表現できる幅は劇的に広がると思いますよ。
ちなみに、amazon等からでも購入できますが、上の公式HPからの方が圧倒的に安価です。