北アルプス・遭難多発エリアはここだ!

北アルプス・遭難多発エリアはここだ!

危険な場所

前に遭難時に身につけた発信器をもとに捜索してくれるココヘリというサービスのご紹介をしました。個人的には山岳保険jROと合わせていざというときに安心ということでオススメしていますが、そもそも遭難はどこで発生しているのか?

山岳遭難の実態をまとめた登山白書2017を参考に、2017年の北アルプス遭難地点をまとめてみました。すると、「危険なエリア=遭難者が多い」ではないという意外な事実が判明しました。

遭難発生地点

登山白書2017には各山域で1年間で発生した遭難場所がまとめられています。それらを無事救助、重傷、死亡の3つに分類して色別に地図にマーキングされていますが、ここでは代表して北アルプスの遭難状況を発生エリアに発生件数を記入してみました。

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北アルプス南部

北アルプス南部
まずは、槍ヶ岳、穂高岳を中心とした北アルプス南部です。北アルプス全域でも1,2を争う人気の山を抱える地域なので登山者数も多いため遭難者数も多くなると考えられます。

赤い丸で囲まれた数値がそのエリアの遭難者数の数です。円が大きさがおおよその発生エリアの範囲と解釈して下さい。

意外なことに、槍ヶ岳周辺に比べて穂高周辺の方が圧倒的に遭難者数が多いことがわかります。槍ヶ岳の穂先は危険なエリアですが、2017年の遭難者数はゼロです。

おそらく槍の穂先の直下に山荘があって休憩した後に登ることができること、重たい荷物は置いて身軽な状態で登ることができることが理由のような気がします。

対して穂高周辺ですが、「12」は唐沢から穂高岳山荘の間のザイテングラードです。ここでの遭難が非常に多いことがわかります。登山白書によると、主要因は滑落です。ザイテングラードは急峻な岩場の連続で、登りなら2時間程度要します。

長時間の登りによる疲労と緊張感の緩みが滑落を誘発するのでしょう。

そしてその先の穂高山荘辺りでも7件の遭難が発生しています。ここの多くは山荘から山頂へ向かうはしご場です。個人的には穂高登山の最も嫌な場所です。

北穂高岳周辺も遭難が計12件発生しています。穂高に比べて北穂に登る人の方がおそらくレベルは高く、そして人数も少ないことを考えると、この12件は多いと言えるでしょう。それだけ危険な山域なのです。北穂は。

ちなみに北穂の「4」はすべて大キレットから北穂高間です。

その他、奥穂高周辺に遭難が散見されています。西穂~奥穂間はいわずもがなの危険エリアですし、前穂周辺も気が抜けません。

繰り返しになりますが、何となく奥穂高より槍ヶ岳の方が危険というイメージでしたが、実態は逆の結果でした。

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北アルプス北部

北アルプス北部
続いて北アルプス北部です。このエリアは立山連峰、後立山連峰の2つに分類できます。

まずは立山連峰の剱岳と立山ですが、意外にも剱岳の遭難者数は4件のみでした。これも一般ルートでは無く、山頂から北側の上級者しか立ち入らないエリアです。

一般ルート上にも急峻なアップダウンの連続、カニのタテバイ、ヨコバイと危険箇所が連続するのですが、2017年の剱岳ノーマルルートの遭難者数はなんとゼロでした。驚きです。

理由は何でしょう?穂高に多くて剱岳は少ない理由。勝手なイメージですが、どちらも人気の山ですが、剱岳はミーハーなだけのレベルが伴わない登山者は寄せ付けない空気があります。

最近、ヘルメットを着用している登山者をよく見かけるようになりました。特に剱岳では着用率が高いと感じます。その危険に対する準備と安全意識、要は登山者の意識レベルの高さを感じます。

その裏付けというと強引かもしれませんが、剱岳に比べるとはるかに易しい立山周辺で数件の遭難が起こっています。小学生も登る立山は剱岳に比べると登山者数も多くレベルも様々です。

続いて後立山連峰です。最北の百名山、白馬岳に遭難者が集中しているのが分かります。これは決して白馬岳が突出して危険なのではなく登山者が多いためです。白馬岳周辺の「10」ですが、これは猿倉から白馬鑓温泉までの間に発生しています。

白馬鑓温泉までは雪渓の急登はありますが、特別危険な箇所があった記憶はありません。遭難の内訳は疲労、滑落など様々です。

続いて多い「9」は白馬大雪渓付近です。これも疲労、滑落、道迷いなどなど。鑓温泉、大雪渓に共通するのは雪です。いったん天候が崩れて吹雪き出すとルートファインディングが困難になり、遭難、低体温症などのリスクが高まります。

遭難時の捜索救助費用を330万円まで保証してくれる山岳保険jROについてはこちら。

ただ、それを考慮してもこのエリアの遭難の多さは、やはり登山者のレベルによるものではないでしょうか。

立山連峰と後立山連峰に挟まれた谷でも数件の遭難が発生しています。ここは黒部峡谷と呼ばれるエリアで、別名、下ノ廊下というデンジャラスな登山道があります。

行程が長く、危険箇所が多いというよりほぼ危険箇所なので初心者にはオススメしませんが、いつかは一度あるいてみてはいかがでしょう。

危険度と遭難者数は必ずしも比例しない

今回の結果から分かることは、危険なエリアが必ずしも遭難者数が多い訳ではないということです。

槍ヶ岳の穂先や剱岳の遭難者数の少なさがそれを物語っています。逆に易しいはずの立山の方が多い。

危険か否かは山容という客観的な事実だけて決まるのではなく、そこを登る登山者のスキルとの兼ね合いです。危険はそれほど無くても、登山者が多ければ遭難者は多くなります。

谷川岳が世界で最も遭難者が多い山と呼ばれる理由がそこにあります。

「遭難者が多い=危険」「遭難者が少ない=安全」という単純な見方では本質を見誤ってしまうことに注意しましょう。

今回参考にした登山白書2017です。よろしければ。

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