Capture NX-Dのノイズ除去機能
「適用量」と「シャープネス」とは?
Capture NX-Dに搭載されているノイズ除去機能は「ノイズリダクション」と呼ばれていて、ノイズリダクションには大きく二つのパラメータがあります。どれだけノイズを除去するかを決める「適応量」と、エッジを強調する程度を決める「シャープネス」です。

「適用量」は理解できるけど、「シャープネス」ってノイズ除去に関係なくない?と思った方もいるかもしれません。
実はノイズ除去という表現から自動的にノイズだけを除去する機能と思ってしまうかもしれませんが、ソフトはそれがノイズか否かを完全に判別できてはいません。
なので、ノイズ除去を行うと維持してほしいエッジまで除去されてしまうため、それを補うために「シャープネス」というパラメータが存在します。
「高速」「高品質」「高品質2013」とは?

上記2つのパラメータとは別に、「高速」「高品質」「高品質2013」という3種類の処理方法を選ぶことができます。これらの違いは簡単に言うとノイズ除去のクオリティの違いです。
「高品質2013」「高品質」「高速」の順でクオリティが下がります。なので、「高品質2013」が最もクオリティが高いのですが、RAW(NEF)データでしか扱えません。
ノイズ除去の処理には時間を要します。なので、「高速」で行うと処理が早くなりますが、その分クオリティは下がります。
以上を踏まえてそれぞれ効果のほどを確認していきたいと思います。
「高品質2013」の効果

まずは「高品質2013」から。使用するのは上の画像です、まだ薄暗い早朝に撮影するためにISOを上げた影響で、ノイズが多くのっています。
画面右のメニューの処理方法から「高品質2013」を選択します。

「輝度」と「カラー」とは?
「高品質2013」のみ、「輝度」と「カラー」の二つに分けてノイズ除去を行うことができます。

これらはノイズの種類を表しており、「輝度」とはおもに明暗差として現れる粒子状のノイズを除去するパラメータで、「カラー」とは赤や緑系の色として現れる色むらのようなノイズのことです。
ではさっそく適用してみましょう。
まずは「輝度」から。効果をわかりやすくするために、適用量を0と100とで比較してみます。シャープネスは両方ともデフォルト値である41にしています。
■「輝度」適用量0と100の比較(画像左が0、右が100 シャープネスはいずれも41)
建物の屋根の目立っていたノイズはだいぶ軽減されましたが、岩場は逆にディテールが失われてぼやけた画像になりました。
次に、ディテールを復元するために「シャープネス」を適用してみます。
■「シャープネス」適用量41と100の比較(画像左が41、右が100 いずれも輝度は100)
いかがでしょうか。シャープネスを100にすることで解消していたノイズが復活してしまいました。ノイズ除去の処理と同じく、画像のエッジだけを強調することが困難なためこのような結果になってしまいます。
上記のような結果だと、無駄に画質を低下させただけになりますので、各パラメータの適用量は仕上がりを見ながら慎重に決めて下さい。
続いては「カラー」です。赤や緑系の色むら状に現れるノイズのことで、建物の屋根に注目してください。
■「カラー」適用量0と100の比較(画像左が0、右が100 いずれもシャープネスは41)
「カラー」の適用量を100にすると、屋根の色むらが解消しました。が、建物全体の赤見が失われ彩度が低くなってしまいました。
それではシャープネスを上げるとどうなるか?
■「シャープネス」適用量41と100の比較(画像左が41、右が100 いずれもカラーは100)
案の定、屋根の色ムラが復活してしまいました。
以上から、適用量を誤ると、「輝度」では、ディテールが失われてしまい、「カラー」では色情報が失われてしまいます。「ディテール」を上げることでこれらの情報は復活しますが、ノイズも復活してしまいます。
エッジノイズとアストロノイズリダクション

「高品質2013」では、「エッジノイズリダクション」と「アストロノイズリダクション」という機能もあります。エッジノイズリダクションとは、主に輝度差が大きいエッジ部に発生するノイズのことのようです。
今回の画像ですと、突発的に生じた輝度差の大きいノイズに対して効果があります。
■「エッジノイズリダクション」適用の有無の比較(画像左が無し、あり)
非常にわかりづらいですが、エッジノイズリダクションを適用すると、屋根や壁の比較的明るいノイズが低減されています。
続いて、アストロノイズリダクションです。こちらは星のように現れる白いノイズに対して効果があります。ではさっそく。
■「アストロノイズリダクション」適用の有無の比較(画像左が無し、右があり)
正直、エッジノイズリダクションとアストロノイズリダクションの効果の差は分かりづらいですね。実際に適用してみて確認してください。
「高品質」と「高速」の効果
続いての「高品質」はJPGにも適用することができます。パラメータは「適用量」と「シャープネス」のみで、これらの基本的な効果は「高品質2013」と変わりません。
が、その程度(品質)には差があります。
■「適用量」0と100の比較(画像左が0、右が100 シャープネスはいずれも5)
適用量を100にすると画像が大きくボケてしまいました。「高品質2013」に比べると変化量が大きく大味な印象です。
ここからシャープネスを適用してみます。
■「適用量」0と100の比較(画像左が0、右が100 シャープネスはいずれも5))
シャープネスを適用すると、ディテールは復元しましたが、ノイズも復元してしまっています。これは「高品質2013」と同じ結果です。
続いて「高速」ですが、これはとにかく処理を早く終わらせたいときに用いる処理方法になります。
■「シャープネス」が0と10の比較(画像左が0、右が100 )
処理結果は「高品質」同様にディテールが失われてしまいました。割愛しますが、「ディテール」を上げると、ノイズとディテールが復活するのも同じです。
確かに「高品質」や「高品質2013」と比べると処理は速いですが、せいぜい数秒差です。ノイズ除去という画質にこだわっているようで数秒を惜しんで「高速」を使う理由は個人的にはあまりないような気がしますがどうでしょう。
まとめ
まとめです。
・ノイズ除去の「適用量」を上げるとノイズは減るが、ディテールも失われる。
・「シャープネス」を上げるとディテールは復活するが、ノイズも復活してしまう。
・「高品質2013」のみ使用できる「エッジノイズリダクション」「アストロノイズリダクション」は、突発的に発生した輝度が高いノイズを消す効果がある。
以上の結果から、ノイズ除去とディテールの劣化は表裏一体の関係性にあります。ですが、ペイントショップを用いればノイズ除去とディテール維持を共存させることが可能です。
参考
Capture NX-Dについて書かれた本はあまりないのですが、基本的な操作はこちらに参考になります。