表銀座縦走路。北アルプス屈指の好ルートを踏破しよう!

表銀座縦走路。北アルプス屈指の好ルートを踏破しよう!

表銀座

最も山を堪能できる山行スタイルはテント泊の縦走であると、誰かが言いました。そして縦走の良さを充分に感じることができるオススメルート、それは表銀座であるとも。言ったのは僕ですが。

今回は槍ヶ岳参りの天空の参詣道、表銀座のご紹介です。何しろ絶景続きなのでいつも以上に写真だらけの記事ですが悪しからず。

表銀座縦走コースとは?

表銀座
表銀座

山にあまり詳しくない人向けに説明しておくと、表銀座とは日本一地価が高いあの銀座ではなく、北アルプス南部を走る、中房温泉から発し槍ヶ岳に至る超魅力的な縦走路のことです。

恐らく山好きの中で最も良く知られ、良く歩かれている道(のはず)。あの加藤文太郎が北アルプスデビューしたのも表銀座でした。孤高の人のモデルです。

一般的には3泊4日の行程になります。ストレートに槍ヶ岳に登るよりも時間を要するので難易度は当然高いです。

ですが、だんだんと近づいてくる槍ヶ岳を眺めながらの稜線歩きはピストン登山では味わえない爽快感と開放感があります。

体力勝負の縦走路ではありますが、是非トライしてみて下さい。

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登山口・中房温泉へのアクセス方法

表銀座は中房温泉から始まります。中房温泉にはJR穂高駅バスかタクシーでのアクセスになります。バスの時刻表は南安タクシーのHPをご確認をば。

穂高駅には、電車かバスでのアクセスになります。電車は松本から、バスなら東京、大阪から夜行バスが運行していて便利。バス停の安曇野穂高から徒歩3分でJR穂高駅に移動します。東京、大阪から運行している夜行バスさわやか信州号の時刻表はこちら

表銀座アクセス
表銀座登山口・中房温泉へのアクセス

表銀座のコースマップ

中房温泉から合戦尾根を登り、燕山荘で1泊。そこから燕岳に立ち寄ったあと、縦走がスタートします。南下して大天井岳の脇をすり抜けてヒュッテ西岳で2泊目。

3日目は表銀座の核心部である東鎌尾根と槍ヶ岳に登って新穂高温泉方面へ下ります。槍平小屋で1泊して4日目に新穂高温泉に下山するという長丁場の難易度が高い行程です。

ルート断面図を見ると、初日に一気に標高を稼ぎ、二日目に細かなアップダウンを繰り返しながら進み、3日目に槍ヶ岳山頂目指してまた標高を上げるというルートになってるのが分かります。

にしてもこの図、青い四角のアイコンが多すぎて見づらいですね。ヤマレコさん何とかならないのでしょうか・・・?

表銀座縦走のコースタイム

コースタイム的にも実標高的にも山場は東鎌尾根と槍ヶ岳の登頂の3日目です。

1日目の合戦尾根の登りも急ではありますが、初日で体力に余裕があります。が、3日目は疲労が蓄積した状態での東鎌尾根はキツいかもしれません。

日数的余裕があるか、もしくは最終日に頑張るというなら3日目は槍ヶ岳山荘で1泊するのもオススメです。山頂直下の山小屋ってあまり無いですから。

ただし、テント泊の場合は到着が遅れると空きが無くて殺生ヒュッテのテント場まで下るハメになるのでご注意を。

1日目 コースタイム: 5:05
中房温泉-(3:00)→合戦小屋-(1:10)→燕山荘-(0:30)→燕岳-(0:25)→燕山荘2日目 コースタイム: 5:50
燕山荘-(2:20)→喜作レリーフ-(0:40)→大天井ヒュッテ-(2:50)→ヒュッテ西岳

3日目 コースタイム: 7:50
ヒュッテ西岳-(1:00)→水俣乗越-(2:10)→ヒュッテ大槍-(0:50)→槍ヶ岳山荘-(0:30)→槍ヶ岳山頂-(0:30)→槍ヶ岳山荘-(2:50)→槍平小屋

4日目 コースタイム: 3:30
槍平小屋-(0:50)→滝谷出合-(1:10)→白出沢出合-(1:30)→新穂高温泉

4日間合計コースタイム: 22:15

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エスケープルート

今回の行程中のエスケープルートは2つ。一つ目は大天井岳麓の分岐点です。西よりに進むと表銀座コースですが、その後、厳しい登りや鎖場、垂直ハシゴといった難所が控えています。

ちと自信が無いかな、でもまだ歩ける体力はあるのにな、という方は東に進路を変えて常念山脈方面へ向かうことをオススメします。表銀座に比べてなだらかで危険エリアがない縦走路になっているので間違い無く歩きやすいです。

常念小屋から一ノ瀬登山口に下山することができます。常念小屋から1時間ちょいで常念岳にも登れますが、ここの登りは危険箇所はないものの急坂でキツいのでご自分の体力とご相談下さい。

二つ目のエスケープルートは、ヒュッテ西岳をたち東鎌尾根手前の最低鞍部にある水俣乗越で上高地方面に下るルートです。東鎌尾根と槍ヶ岳への登りを控えた最大の難所です。

水俣乗越からの約1時間の下りは多少急ですが、それ以降はなだらかな道が続くので不測の事態が発生したとき等のエスケープルートとしては最適です。是非覚えておいて下さい。

表銀座のエスケープルート
表銀座のエスケープルート

必要な装備と重さ

表銀座を縦走する上での必要な装備とその重さをまとめておきます。季節は8月でテント泊想定としました。

正直、装備は人によって色々かと思います。どちらかというと着目して頂きたいのはその重量です。

個々の装備は代表してモンベルの重さを記載しており、テント泊ということで装備は増えています。

水は山小屋で購入する前提で持ち歩くのは1リットル。危険エリアもあるのでヘルメット持参で「その他」に0.3kg分追加しています。以上を合計すると11.2kg。

ここに個人的趣味(食料の充実、本、カメラ)などを加えるとさらに増量になります。

装備一覧
装備一覧

装備の重量は以下のページで計算することができます。自分の装備の重量はどれくらいか、参考までにチェックしておいてはいかがでしょう?

槍ヶ岳山頂の月ごとの平均気温

表銀座コースではいくつかのピークを通過しますが最高地点は3180mの槍ヶ岳なので、代表して槍ヶ岳山頂の月ごとの平均気温、最高気温、最低気温をまとめました。

 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
最高-14.7-13.6-8.8-1.24.79.511.714.89.43.1-4.1-10.6
平均-17.4-17.3-13.4-6.5-0.53.98.18.94.7-2.2-7.7-13.6
最低-21.2-23.7-17.2-11.9-6.4-0.644.81.1-8-12.3-17.6

槍ヶ岳のページでも書きましたが、8月でも山頂の平均気温は8.9度で10度を下回ります。風速10m/sの風が吹けば体感温度はマイナスです。真夏だとしても防寒着は必ず持参するようにすべきです。

1月2月の厳冬期は-15度を下回り豪雪地帯です。表銀座は間違ってもトライしないようにしましょう。

表銀座の気温を考える上で、常に槍ヶ岳山頂の水準を想定していればお釣りがくると思います。

※上記の表は、国土交通省が平成24年に作成したデータを元に算出しています。エリアごとの平均標高と平均気温に対し、標高100m上昇するごとに気温が0.6度低下する前提で求めたあくまでも推定値です。

体力的難易度・ルート定数

表銀座の体力的難易度を示すルート定数は80.5。体力的難易度はとても高い部類になります。単独の山のピストンルートでルート定数が80を越える山はなくいずれも縦走コースのみになります。

表銀座を踏破できれば単純な体力面では百名山ならどこでも登れると思います。

表銀座のルート定数
表銀座のルート定数

体力的に余裕があるなら、大天井岳や西岳に登るのも良いと思います。逆にコースを短縮しようと思うなら燕岳をスルーすることもできますが、せっかく近くに来たので是非登りましょう。

むしろ初日にして燕岳に立ち寄るほどの体力も無いようなら表銀座は諦めるのが賢明です。

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おすすめ行動食・えいようかん

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えいようかん

登山中の体力維持にはこまめな栄養補給が欠かせません。特に必要とする栄養素はエネルギーに変わりやすい糖質。

糖質を多く含み、行動中も食べやすく何より美味しいものという意味では、えいようかんを推します。

単純な100gあたりの糖質量であれば、飴の方が多いのですが、飴を100g食べるのはけっこう大変ですしかさばります。その点、えいようかんはコンパクトで◎。

「えいようかんなんて知らん」という方も多いかもしれませんが、試しに食べてみて下さい。美味いです!

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ちなみに、以下のページでおすすめの行動食10選をご紹介しています。

コースガイド

1日目:中房温泉~燕山荘

中房温泉からは北アルプス三大急坂の一つ、合戦尾根の急坂を登ります。そしてしばらくは樹林帯の急な登りが続きます。

合戦尾根
合戦尾根

合戦尾根のキツさを他の急坂と比較した記事はこちら。

やがて、合戦尾根の中腹に合戦小屋が見えてきます。ここでは宿泊することはできませんが、ここで食べるスイカは格別。食すべしです。

合戦小屋のスイカ
合戦小屋のスイカ

合戦小屋から1時間10分で燕山荘に到着です。燕山荘からは燕岳や、これから歩く表銀座の縦走路とその先の槍ヶ岳が一望できます。

燕山荘1
燕山荘からの眺め

基本、テント派の僕ですが、この燕山荘には一度宿泊してみたいと思ってます。立地良いし名前もカッコ良いし。

燕山荘2
燕山荘からの眺め

燕山荘から燕岳までは30分ほど。荷物を置いて身軽になって登りましょう。それにしても燕岳はカッコ良い。個人的には、唐松岳と並んでなぜ百名山じゃないんだ山の筆頭です。

燕岳
燕岳

2日目:燕山荘~ヒュッテ西岳

二日目は燕山荘からいよいよ表銀座の縦走路を歩きます。徐々に近づいてくる槍ヶ岳を眺めながらの稜線歩きは最高です。途中、岩場、ハシゴ、鎖場ありで危険な箇所もあるので要注意です。

表銀座
表銀座・ハシゴ

途中、余力げあるなら大天井岳に登るのもありです。ちなみに直登ルートは傾斜がエゲツないのでオススメしません。

大天井岳の登り
大天井岳直下の登り

燕山荘から5時間50分。ヒュッテ西岳に到着です。二日目はここで宿泊。

ヒュッテ西岳
ヒュッテ西岳

ヒュッテ西岳の醍醐味は何と言ってもその景色の良さ。東に常念岳、西には槍ヶ岳がそびえ、日の出の時間には槍ヶ岳が朝日で染まるモルゲンロートが拝めます。

槍ヶ岳とモルゲンロート
槍ヶ岳とモルゲンロート

3日目:ヒュッテ西岳~槍平小屋

3日目は表銀座の核心部、東釜尾根です。エッジが効いた岩場を槍ヶ岳目指してぐんぐん高度を上げていきます。

槍ヶ岳・東鎌尾根
槍ヶ岳・東鎌尾根

東鎌尾根からは、あの加藤文太郎(2回目)遭難の地、北鎌尾根と槍ヶ岳の絶好のビューポイントです。ノコギリのような稜線を見ると、冬に登ったら遭難もさもありなんって感じ。北鎌尾根はバリエーションルートになるので一般登山者は眺めるだけにしましょう。

槍ヶ岳・北鎌尾根
槍ヶ岳・北鎌尾根

ヒュッテ西岳から4時間。槍ヶ岳山頂直下の槍ヶ岳山荘に到着です。数ある山小屋のなかでも屈指の立地の良さを誇る槍ヶ岳山荘。テント場の絶景なので大人気のため出遅れると満員となり、少し降った殺生ヒュッテにテントを張るハメになります。

槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘

今回ご紹介する行程では槍ヶ岳山荘は通過してさらに降った槍平泊としていますが、西岳ヒュッテを朝早く立てば早い時間に槍ヶ岳山荘に到着できテント場にもありつける可能性大なので、槍ヶ岳山荘で一泊するのもありです。その分、翌日の行程が長くなりますが。

さて、槍ヶ岳山荘からいよいよ登頂です。ここからは両手両足をフル稼働させて登ります。馬鹿でかい岩壁に少しビビりますが、落ちついて登れば問題ありません。なるべく荷物は置いて行きましょう。

槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳・槍の穂先

ハイシーズンは道中で渋滞になり、運が悪いとデンジャラスなところでしばし待機なんて目に会います。渋滞なく登れれば30分で山頂です。ここからの眺めは言わずもがな。表銀座のクライマックスに相応しい眺めです。

槍ヶ岳・山頂からの眺め
槍ヶ岳・山頂からの眺め
槍ヶ岳・山頂からの眺め2
槍ヶ岳・山頂からの眺め2

槍ヶ岳からの下山は上高地ではなくあえて新穂高温泉に降ります。上高地ルートについては、以下の槍ヶ岳のルートガイドをご参考に。

槍ヶ岳からは南西方向、新穂高温泉を目指して下山します。途中まで西鎌尾根を下りますが、東鎌よりも傾斜は急です。

槍ヶ岳・西鎌尾根
槍ヶ岳・西鎌尾根

約3時間で槍平小屋に到着。ここで3泊目。ここから新穂高温泉までは傾斜は緩く、下山したも同然です。何だかホッとします。

4日目:槍平小屋~新穂高温泉

今回の行程では最終日は緩やかな下りを3時間半歩くのみ。ウイニングランのつもりで余韻に浸りながら新穂高温泉を目指しましょう。

山小屋、テント場情報

燕岳のテント場
燕岳のテント場

表銀座ではその行程が長いこともあり、道中多数の山小屋・テント場があります。どこで一晩を過ごすかは結構大事です。歩行時間だけを考慮するなら今回ご紹介した行程がまあ良いかと思いますが、あえて贅沢に多くの山小屋で宿泊しながらの山行も楽しいかもしれません。

山小屋/テント場収容人数テント張風呂営業開始営業終了
中房温泉150204月下旬11月下旬
有明荘804月下旬11月下旬
合戦小屋54月下旬11月下旬
燕山荘650304月下旬11月下旬
大天井ヒュッテ1007月上旬10月上旬
大天荘200506月下旬11月上旬
ヒュッテ西岳70207月上旬10月上旬
ヒュッテ大槍966月下旬10月上旬
殺生ヒュッテ100406月上旬10月上旬
槍ヶ岳山荘450394月下旬11月上旬
槍平小屋80507月上旬10月上旬

槍ヶ岳を楽しむための本2冊

槍ヶ岳をより楽しむための本を2冊ご紹介したいと思います。

孤高の人(小説版)

まずは『孤高の人』。

大正から昭和にかけて活躍した実在の登山家・加藤文太郎の生涯を描いた作品です。

「居場所とは一人になっても大丈夫な場所のこと。」と、とある人が言っていました。

加藤文太郎にとっての居場所とは間違いなく山でした。

山に生き、そして山で帰らぬ人となった加藤文太郎。彼の初めての本格的な登山が表銀座であり、最期となった山こそが槍ヶ岳の北鎌尾根でした。

どんな風景も、そこに物語があればまったく違った姿を見せます。ぜひ読語に登ってみて下さい。

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孤高の人(漫画版)

続いては漫画版の『孤高の人』。

原作版『孤高の人』のエッセンスを現代風に大胆にアレンジした作品です。
ですので、表面上はまったく違う作品のように思えるかもしれません。

ですが、人付き合いが苦手、だけど決して人間が嫌いではないという主人公の性格が、二つの作品に共通する通奏低音のように流れていて、それによって同じ空気をまとった作品だと感じさせてくれます。

漫画版は原作のオルタナティブな世界、そんな風に感じさせる不思議な魅力があります。なので、先に原作を読むのがよいかと。

槍ヶ岳は最後の最後に出てきます。何てことはないシーンですが、僕は好きです。


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