シュラフの選び方・最低使用温度と山の気温をキーにしてチョイスすべし

シュラフの選び方・最低使用温度と山の気温をキーにしてチョイスすべし

登山でのテントで過ごす時間が快適か否かは、良く寝られるか否かとほぼ同義です。そして、良く寝られるかどうかとは、寒いか否かとほぼ同義です。

なので、適切なシュラフをチョイスできるかどうかが、テント生活の快適さを決定する大きな要素になるのです。

という訳で今回はシュラフの選び方についてでございます。

シュラフとは

一般的にはあまりなじみがない呼び名かもですが、シュラフとは寝袋のことです。(ちなみにドイツ語です。)シュラフには、蓑虫のようなマミータイプと封筒タイプの2つがあります。ここでは登山で使用するシュラフを話題にしますので、かさばって重量があり、保温性が低いマミータイプは扱わず、マミータイプのみを対象とします。

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ダウンと化繊タイプがある

マミータイプのシュラフは、主にダウンと化繊の2つの素材のものがあります。一般的には、ダウンタイプは軽量でコンパクトかつ保温性に優れる一方で水に弱く高価です。対して化繊は保温性はあり丈夫で比較的安価ですが重たくかさばります。

少し乱暴ですが、まとめるとこんな感じ。用途が登山でなければ化繊の方がコスパも良くオススメですが、コンパクトかつ軽さが大正義の登山においてはダウンタイプのシュラフが吉だと思います。

 ダウン化繊
保温性
重量
体積
耐久性
価格
耐水性

ダウンの欠点回避・耐久性

上に挙げたダウンの欠点はいずれも回避可能です。耐久性については、テント内の使用において基本寝るだけなので耐久性はそれほど求められないと思っています。ただ、ダウンジャケット同様にたまに細かな穴が開いて中のダウンが外に飛び出してくることがあるので補修は必要です。

ダウンに開いた穴
ダウンに開いた穴

穴の補修にはモンベルのリペアシートがオススメです。粘着性が高く剥がれづらいです。ただしカットする際に角はできるだけ丸くした方が良いでしょう。
モンベル(mont‐bell) リペアシート

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ダウンの欠点回避・耐水性

また、耐水性についてですが、テント内の結露によってシュラフが濡れることはあります。が、僕の経験上、それによって保温性が著しく低下したりといった実害を被った経験はありません。

例えば連日天候が悪く、濡れたシュラフを乾かすこともできず連泊するハメになったりするとダメージがあるかもですが、そうでなければ多少結露で濡れても大勢に影響は無いし、翌日に乾かせば大丈夫。

そもそも連日天候が悪くなるであろう山行はキャンセルするというしかるべき対応によってほとんどの場合は回避可能と思われます。というか努めて回避するようにしましょう。

一番のオーソドックスな対処はシュラフカバーを持参することです。シュラフカバーによって結露の懸念はなくなり保温性も高まりますが、その分荷物が増えるのとお財布にも優しくありません。

個人的にはシュラフカバーの優先順位は低く、最近では山に持参することはほぼなくなりました。

ダウンの欠点回避・価格

もしかすると最大のネックかもしれない価格。例としてイスカのシュラフにおける、ダウンと化繊の最低使用温度別の価格差をまとめてみました。

最低使用温度ダウン化繊
2度2900021000
-6度3800027000
-15度4800033000

最低使用温度が低下するに従い価格差も開いていく傾向です。誰が見ても一目瞭然の差。このダウン最大の欠点を回避する方法、それは「山に行ってしまえば価格は関係ない!」です。

「重い」とか「かさばる」とかは山行中つねにつきまとう問題ですが、価格が問題になるのは購入前の話であって、いざ山に行ってしまえば価格そのものが問題になることはありません。

なので、いざ山に行ってしまえば価格は関係無し!ということです^^

・・・すみません。理論が強引すぎました。価格はやはりデメリットとして残ります。実際は懐事情と相談しどこまで許容できるかのせめぎ合いになります。

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シュラフ選びのポイント

前置きが長くなりましたが、ダウンタイプのシュラフ前提でシュラフ選びのポイントをご紹介したいと思います。

シュラフ選びは、ざっくり3つの客観的指標にそれぞれ3つの主観的指標が絡めて考えるのがよろしいかと思います。「価格」「保温性」「気温」という客観的に決定している要素に対して、それぞれ主観的にどれだけ重要か、どこまで許容できるかです。
客観的指標と主観的指標
値段はいくらまでなら出せるのか。次に保温性。シュラフには最低使用温度が設定されています。この温度に対して自分の寒さ耐性がかかわってきます。そして気温。そもそも行こうとしている山の気温はどうか。そこに自分の寒さ耐性を絡めて考えます。

個人的にはシュラフ選びは、シュラフの保温性と気温。それに対する自分の寒さ耐性と山行スタイルをキーにして選択するのが一番おススメです。要は寒くないシュラフを選ぶです。その理由は冒頭に書いたように、テントで過ごす時間が快適か否かは寒いか否かで決まるからです。

夜寒くて寝られないというのは、結構な地獄です。単純な体力的大変さよりもツライです。

シュラフの最低使用温度と山の気温

寒くないシュラフを選ぶということで、まずおさえるべきは客観的指標であるシュラフの保温性と気温です。ここではイスカのシュラフを例にして進めます。

山の月ごとの最低平均気温とイスカのシュラフ(エアシリーズ)の最低使用温度(赤線)をグラフにしてみました。ちなみに、最低使用温度とはそのシュラフの使用できる限界温度のことで、決して快適に過ごせる温度ではないことに注意です。

山の気温とシュラフの最低使用温度
山の気温とシュラフの最低使用温度

このグラフから、どのシュラフを使えばどの山のどの月まで対応できるかが分かります。例えばエア630EXの最低使用温度は-15度ですが、鳥海山であればオールシーズ対応できますが、槍ヶ岳だと12月~3月は最低気温が-15度を下回っているので対応できないことが分かります。

山行スタイルと寒さ耐性

以上は客観的な事実です。そしてここに主観的指標である山行スタイルと自分の寒さ耐性を絡めてみます。

例えば、テント泊での登山が7月上旬から9月中旬ごろに限定している場合、以下のグラフのようにそれ以外の期間は考慮しなくてもよくなります。

テント泊期間が7月上旬から9月中旬までの場合
テント泊期間が7月上旬から9月中旬までの場合

つまり、山行をこの期間に限定した場合、最低使用温度が-5度であるエア450Xで対応可能と言えます。

ですが、実は「シュラフの選び方はこれでOK」とは言い切れません。自分の寒さ耐性も考慮する必要があります。そもそも寒いかどうかは主観の問題で、シュラフメーカーがうたっている最低使用温度なるものも人によって感じ方が異なります。

世間一般と比べて自分は寒さに強いのかどうかを考慮してシュラフを選ぶ必要があります。

例えば、テント泊での山行期間は7月上旬から9月中旬とした場合、一般的にはエア450Xが妥当に思えますが、人よりも寒さに弱いならエア630EXの方が良いかもしれません。というか630EXにすべきです。

自分の寒さ耐性は自分にしかわからないのでこればかりはアドバイスができません。

自分の寒さ耐性の確認方法は、サラリーマンの方なら出勤時の恰好がまわりの人と比較するのが分かりやすいかもしれません。まわりの人がコートを着ているのに自分はまだ必要ないと思えばおそらく寒さ耐性は人より高いと思います。

①.行こうとしている山でのテント泊期間の最低平均気温を調べる。
②.シュラフの最低使用温度を調べる。
③.①をクリアできるシュラフを確認する。
④.自分の寒さ耐性によって③で選んだシュラフグレードを補正する。

大は小を兼ねるのか?

以前、ザックの選び方の記事で「大は小を兼ねる」と書きました。迷ったら大きい方を買っておいて損はないと。

それはシュラフも同じでしょうか。ごちゃごちゃ言わず一番暖かい(そして高価な)シュラフを買えばオールシーズンつかえるのではないか。

それも一つの方法かもしれませんが、暖かいシュラフはそれだけ羽毛が多いためかさばります。そらもうかさばります。

以下の写真はパイネISD350(最低使用温度-2度)、イスカの630EX、同じくイスカの1000EXを専用のスタッフバックに収納したものです。

シュラフのサイズ
シュラフのサイズ

イスカ1000EXは最低使用温度が-30度で日本ならいつどこでも対応可能なフラッグシップモデルですが、とにかくでかいです。しっかり押し込んでパッキングしないと、このシュラフだけでザックの大半を占有します。

夏山に明らかにスペックオーバーとわかっているこのシュラフを持参するのはテンション下がります。なのでシュラフはザックほどは大は小を兼ねるとは言いづらいもんがあります。

複数のシュラフの選び方

上の例で、テント泊の期間が7月上旬から9月中旬に限られる場合は、450Xが妥当という結論でした。ですが、オールシーズンでテント泊する場合はどうでしょうか。

仮に、厳冬期の北海道や3000m級は危険なので除外し、九重山レベルまでを登るとすると、エア630EXが妥当なチョイスになります。

例えばエア630EXを選んだとして、夏山にこのスペックは必要でしょうか?完全にオーバースペックです。明らかに暑いしかさばるしで良いことありません。ならば取り得る選択肢は二つ。グレードを落として450Xにするか、2つ体制にするかです。

僕は後者をおススメします。もちろん1つで済む方が安く済んで賢いかもしれませんが、450Xでは耐寒性に難ありとわかっているのなら2つ体制にすべきです。寒くて寝られないのはツライですが、ツライでは済まず最悪命にもかかわりますので。

仮に2つ体制にする場合、逆に450Xは候補から外した方が良いでしょう。なぜなら中途半端だからです。冬用として630EXをチョイスした以上、寒さに懸念はありません。逆に夏場にかさばらないことに主眼を置いたシュラフをチョイスすべきで、その意味で280Xが有力かと思います。

以上をまとめると、上の『山行スタイルと寒さ耐性ポイント』で挙げた4つのポイントに5つめを追加します。

①.行こうとしている山でのテント泊期間の最低平均気温を調べる。
②.シュラフの最低使用温度を調べる。
③.①をクリアできるシュラフを確認する。
④.自分の寒さ耐性によって③で選んだシュラフグレードを補正する。
⑤.シュラフを夏用と冬用の2つに分けて考える

僕のシュラフ

マイシュラフ
マイシュラフ

以上を踏まえて僕が選んだシュラフをご紹介します。すでに少し触れましたがパイネのISD350(最低使用温度-2度)、イスカの630EX、同じくイスカの1000EXのまさかの3つ体制です。

なぜ3つなのか。それは見通しの甘さと僕が寒さに弱いからです。

登山を始めたころは夏山しか意識していなかったのでパイネISD350で十分との判断でした。

その後、9月も後半になるとパイネISD350では心もとなくなり、なおかつ僕の中のテン泊期間が11月中旬ぐらいまで延長したのでそれに合わせてイスカ630EXを買いました。

これで打ち止めかと思いきや、僕の寒さ耐性では、イスカの630EXでは10月中旬の北穂高で寒くて寝られませんでした。なので、それ以上の寒いところでも余力を持って対応できるイスカの1000EXを買いました。

という訳での3つ体制です。使い分けとしてはざっくり「夏=パイネISD350」「秋=630EX」「冬=1000EX」となっています。

今にして思えばイスカ450Xと1000EXの2つ体制でもよかったですが結果論ですね。(※2019年11月現在、イスカ エア1000EXは販売されていないようです。)

シュラフの収納

コンプレッションバッグを絞ったところ
最後に、シュラフを使ったことがない方はシュラフをどのように収納すればよく分からないかもしれません。あんなにもこもこしているのにどうやって畳むの?とか。

シュラフに畳み方はありません。とにかくスタッフバックにぐいぐいと押し込むだけです。スタッフバックに押し込んだだけだとデカいですが、ダウンのシュラフはかなり圧縮することができます。

なので以前もご紹介したコンプレッションバックを使うことで体積を4割弱程度に小さくすることができます。

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