下ノ廊下。温泉もある危険な回廊歩き。

下ノ廊下。温泉もある危険な回廊歩き。

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皆様は下ノ廊下というところをご存じでしょうか?山に興味が無い人は聞いたこともないかもしれません。僕も登山にはまるまで知りませんでした。

下ノ廊下とは北アルプスにあり、日本電力が水力発電所の建設に備えた調査を行うために開削したことが始まりです。その後の黒部ダム建設のための資材の運搬用として開削が進められ、黒部の太陽という映画にもなりました。別名、日電歩道とも呼ばれています。

資材運搬用の歩道と聞くと工事現場の通路しかイメージできませんね。正直地味な印象ですが、さにあらずです。

山とはてっぺんだけが山ではありません。谷もまた山を形成する一部であり、山の楽しみがあります。抜ける青空の広がりはそこにはありませんが、山を形成する圧倒的な岩・岩・岩を感じることができます。

工事現場の通路として作られた道が、多くの登山者を引きつけて止みません。そこには何があるのでしょうか?という訳で下ノ廊下のご紹介です。

黒部ダム

下ノ廊下の起点となるのが黒部ダムです。北アルプスという日本有数の山塊に日本最大のダムがあるというのが驚きです。山奥にあるダムですが、電気で走るトロリーバスが運行していて意外とアクセスが良く、立山と合わせて観光に訪れる人が多いです。

黒部ダムへは扇沢からと室堂からの2つのアクセスがあります。観光に訪れるぶんには室堂散策とセットで室堂ルートが良いですが、目的が下ノ廊下ならトロリーバス1本で来られる扇沢からが良いでしょう。安いし。

黒部ダム・アクセス

黒部ダム界隈は静かな山行とは言いがたい雰囲気で、静寂を好む方は面食らうかもしれません。ですが、その圧倒的なスケール感は一見の価値ありです。運が良ければ放水も見られます。
黒部ダム

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下ノ廊下ルートマップ

少し見づらいですが、赤線が下ノ廊下のルートです。黒部ダムから北上し欅平にいたるそのルートは、北アルプスの蒼々たる山の間を進みます。ですが道中、常に切り立った崖を歩くため、それら名山の全容はうかがいしれません。あるのは岩・岩・そして岩です。

北アルプスの高山に囲まれているこのエリアは一年のほとんどが雪に覆われているため、9月から1ヶ月程度しか歩くことができません。

行程は1泊2日。もしくは前乗りして黒部湖畔のロッヂくろよんで1泊するのが安全でしょう。初日の行程は約8時間半。グラフの通り、緩やかな下りが続きます。が、実際に歩くと気持ちは決して緩やかではありません。

断崖絶壁の連続なので常に緊張を強いられます。緊張している時間の長さという意味では剱岳より長いです。掲載しておいてなんですが、下ノ廊下においてはルート断面図からは本質は見えません。強いて言えるとしたら、緊張の連続が約27km続くということです。

1日目:黒部ダム~阿曽原温泉小屋

黒部ダムから1日目の行程のゴールである阿曽原温泉までの写真です。本来なら、ルート上に撮影ポイントをプロットしたかったのですが、場所がいまいち覚えておらず申し訳ないです。

黒部ダムを出発してしばらくは断崖絶壁ではあるももの高さはあまり無かったですが、だんだんと高度があがり、4枚目の写真のありさまに。神経を使います。
下ノ廊下1
下ノ廊下2
下ノ廊下3
下ノ廊下4

阿曽原温泉小屋

今回のルート上にある唯一の山小屋、阿曽原温泉小屋です。温泉と付くだけあって温泉を備えています。こんな山奥でお風呂に入れるとはありがたい。登山をしていて思いますが、山域によって登山者のレベルが違うと感じることがあります。

例えば槍ヶ岳はメジャーな山だけあって「何故こんな人が?」と思うような不思議人間が登ったりします。迷彩服を着て登っている人もいました。逆に阿曽原温泉小屋は登山者純度が高かったように思います。

山小屋情報

  • 営業期間:7月中旬から10月末
  • 小屋収容人数:50人
  • テント:30張
  • ホームページ:こちら

阿曽原温泉小屋
ちなみに、前に下ノ廊下の通行可能期間は9月から1ヶ月程度とお伝えしましたが、欅平から阿曽原温泉間は少なくとも小屋の営業期間中は歩けます。なお、北アルプス、南アルプスの山小屋情報については以下。

2日目:阿曽原温泉小屋~欅平

2日目の阿曽原温泉小屋から欅平までは水平歩道と呼ばれる5時間の行程です。1日目よりは歩きやすいですがさらに高度はあがります。油断厳禁で進みましょう。

水平歩道は道中、滝あり、洞窟ありでバリエーションに富んでいます。欅平から阿曽原温泉までの水平歩道のみ歩くというのも一興かもしれません。
下ノ廊下5
下ノ廊下6
下ノ廊下7

ゴールは欅平。ここもまた観光地で人がたくさんおります。これまでの危険の連続から一転、気持ちは弛緩しまくりです。欅平からはトロッコ列車で宇奈月温泉駅まで向かいます。

この間の風景も本来なら見事なはずなのですが、下ノ廊下を踏破した身としては特に真新しさは感じないかもしれませんが、勝利?の美酒に酔いながらゆっくり景色を眺めるのもよいでしょう。
欅平

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まとめ

今回は下ノ廊下をご紹介しました。1泊2日の全行程の所要時間は約13時間半。基本的に緩やかな下りが続きますが、細かなアップダウンが多く何より常に断崖絶壁を歩く緊張を強いられます。

ウィキベディアには上級者向けと書かれていますし、個人的には夏の剱岳より危険という印象です。下ノ廊下の一番危険なところ、それは全行程を脚だけで歩けてしまうところです。前にも述べましたが、山で最も危険な場所とは何とか手を使わずに歩けるところです。

その意味で下ノ廊下ほど気が抜けないルートはありません。僕は、無事、欅平に到着したとき、「とうぶん下ノ廊下はいいかな」と思いました。お腹いっぱいでした。

だたそれだけ濃密な体験ができることも確かです。天気とタイミングに恵まれたなら一度、歩いてみることをオススメします。

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