山の良さには色々な要素があります。眺めが素晴らしい、見応えのある景色、温泉がある、設備が充実している、などなど。
山を魅力的にするそんな要素を、白馬岳ほど高いレベルで備えた山はありません。数学だけできる理系オタクではなく国数理社英すべてでハイスコアを叩き出す万能型。今回は山の優等生、白馬岳のご紹介です。
白馬岳の魅力
白馬岳は色々な魅力があります。登る前に予習しておきましょう。
日本最大の雪渓
猿倉から登るとしばらくして現れる白馬大雪渓は日本最大の雪渓です。年間を通して溶けることはなく、夏でも雪山登山気分を味わうことができます。雪で冷やされた風は夏でもヒンヤリで、疲れた登山者を癒してくれます。
ただ、いたるところに岩が転がっていて落石の危険があるエリアでもあります。ルートのチョイスは慎重に。ちなみに、皆さんは雪渓と氷河の違いはご存知でしょうか?白馬岳のそれは氷河ではなく雪渓と呼びます。年間を通して溶けず氷の塊なのになぜ氷河と呼ばないのでしょうか?
実は氷河は「重力によって長期間にわたり連続して流動する氷体」と定義されています。つまり、氷河と呼ぶには氷の塊が流れている必要がありますが、白馬岳の氷体は流れていないため、氷河とは言わず雪渓と呼ばれます。
日本最大の山小屋
山頂直下に建つ白馬山荘は800人を収容することができる日本で一番大きい山小屋です。立地も素晴らしく、目の前には白馬槍ヶ岳、杓子岳、遠くに剱岳と立山、そして振り返れば山頂です。山頂まで15分という至近距離。道中、迷うところも危険なところもありません。10月中旬まで営業しているのも◎。
山頂に近い山小屋情報は以下に詳しくまとめています。
標高2100mの温泉
猿倉から登る雪渓ルートからは外れますが、白馬山系には温泉もあります。カレー添えられた福神漬けのように登山には温泉がもはやセットです。
むしろカレーこそが温泉だ!と豪語する方もおられるかもしれません。猿倉から南のルートを登ること5時間半で白馬鑓温泉に着きます。ここの温泉の良さは何といっても露天!標高2100mの温泉に浸かって自分が登ってきたルートを眺めるのは至福です。
男女で風呂が分かれていますが、女子風呂は目隠しされていて景色が見れません。ですが、女性さえよければ、水着着用で男子風呂に入ることができます。白馬鑓温泉からの登りはなかなか大変です。温泉で疲れをとって翌日に備えましょう。
猿倉から登るコースガイド
このルートの醍醐味は何と言っても白馬大雪渓です。山頂までの行程の2/3は雪の坂を登ることになります。当然、アイゼンは必着です。
登山口である猿倉荘で軽アイゼンを購入することができます(少なくとも2012年時点ではできました)。が、必ず必要なので持参するようにしましょう。
滑落しないよう慎重に登りつつ、極力落石を受けづらいルートを選ぶ必要があり、岩場とはまた違った神経を使います。百名山の体力度については以下に詳細にまとめています。
天候が崩れ、ガスってしまうと、ルートファインディングが困難になる危険もあります。初心者だけで登るのはひかえましょう。
白馬大雪渓を登っている最中にはエスケープルートはありません。山頂まで登ってしまえば、雪渓を下って猿倉に下山するより傾斜が緩やかな栂池方面に下った方が安全かと思います。
服装については、北アルプスの高山でも夏場なら半袖で問題無いですが、雪渓上で風が吹くと雪で冷やされた冷たい風にさらされることになるので注意が必要です。
2日間の総歩行距離は11時間45分の長丁場となります。その多くを雪渓の上を歩く独特なルートです。
猿倉-(1:00)→白馬尻小屋-(4:30)→白馬岳頂上宿舎-(0:20)→白馬山荘-(0:15)→白馬岳山頂-(0:15)→白馬山荘
2日目 歩行時間:5:25
白馬岳山荘-(0:15)→白馬岳山頂-(1:10)→小蓮華山-(1:30)→白馬大池山荘-(2:30)合計:11:45
猿倉ルートを上るための体力度・ルート定数
猿倉から登り白馬大雪渓を経由して山頂へ至り白馬大池山荘に下山するルートの必要な体力度をルート定数で示してみました。ルート定数は45。
同等の体力レベルを要する山は、八方尾根から唐松岳、五竜岳に登り遠見尾根を下るコースのルート定数が44.7。こちらのコースの方が危険度は上で、総合的な難易度は上かと思います。
山の難易度に関してまとめた記事はこちら。
白馬岳登山におすすめサプリ
白馬岳登山のお供として、9割以上のアスリートが疲労回復に効果ありと答えたアミノバイタルゴールドがおすすめです。僕自身、これを登山中に飲んだら筋肉痛が軽くなって驚いています。
アミノバイタルゴールドついてはこちらで紹介しています。
おすすめ行動食・えいようかん

登山中の体力維持にはこまめな栄養補給が欠かせません。特に必要とする栄養素はエネルギーに変わりやすい糖質。
糖質を多く含み、行動中も食べやすく何より美味しいものという意味では、えいようかんを推します。
単純な100gあたりの糖質量であれば、飴の方が多いのですが、飴を100g食べるのはけっこう大変ですしかさばります。その点、えいようかんはコンパクトで◎。
「えいようかんなんて知らん」という方も多いかもしれませんが、試しに食べてみて下さい。美味いです!
ちなみに、以下のページでおすすめの行動食10選をご紹介しています。
猿倉までのアクセス
猿倉には白馬駅からバスが運行しています。詳細はアルピコ交通のHPを。
バス運賃は一名1000円で、所要時間は27分です。タクシーなら約5000円なので、4人で乗り合わせれば値段はそれほど変わりません。人数さえ揃えば時間を気にせずに行けるタクシーが良かもです。
山頂と白馬山荘の月ごとの気温
白馬岳山頂と山頂直下の白馬山荘の月ごとの平均気温、最高気温、最低気温を表にしました。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高 | -14 | -13.5 | -9 | -1.4 | 4.5 | 8.3 | 11.7 | 13.5 | 9.3 | 3.4 | -3.4 | -9.7 |
平均 | -17.1 | -16.4 | -12.5 | -6.1 | 0.3 | 4.8 | 8.8 | 10.2 | 5.7 | -1.2 | -7.2 | -13.1 |
最低 | -21.1 | -24 | -17.2 | -11.3 | -4.9 | 0.6 | 5.3 | 6.2 | 2.3 | -7.5 | -11.7 | -17.3 |
気温的に恵まれているのが夏場の7月と8月。ただし、槍ヶ岳のコースガイドの記事でも書きましたが、風速10m/sの風が吹くと0度前後で真冬なみの気候になるので防寒着必須になります。
一方、天候が良く風も無ければ日差しがきつく、服装は半袖で十分。気候の変化に対応できるよう準備をして登るべしです。多少荷物は多くなりますが我慢しましょう。
10月の平均気温は-1.2度。前半ならまだ積雪なく登れるギリギリの時期でしょうか。アイゼンは念のため持って行った方が無難でしょう。10月中旬以降は積雪があるものと思って登るべしです。装備、服装も冬山想定で。
※上記の表は、国土交通省が平成24年に作成したデータを元に算出しています。エリアごとの平均標高と平均気温に対し、標高100m上昇するごとに気温が0.6度低下する前提で求めたあくまでも推定値です。
白馬岳山域の山小屋・テント場情報
白馬岳山域の山小屋情報です。栂池ヒュッテと栂池山荘にはお風呂があります。猿倉から登り、栂池に下山してお風呂似入るのがベターな山行ですね!表の山小屋をクリックするとHPにリンクしていますので、詳細情報はHPをご確認下さい。
山小屋/テント場 | 山小屋 | テント場 | 収容人数 | テント張 | 風呂 | 営業開始 | 営業終了 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 猿倉荘 | ○ | 89 | 4月下旬 | 10月上旬 | |||
2 | 白馬尻小屋 | ○ | ○ | 150 | 15 | 7月上旬 | 9月下旬 | |
3 | 白馬岳頂上宿舎 | ○ | ○ | 400 | 100 | 6月中旬 | 10月中旬 | |
4 | 白馬山荘 | ○ | 800 | 4月下旬 | 10月中旬 | |||
5 | 白馬大池山荘 | ○ | ○ | 150 | 30 | 7月上旬 | 10月上旬 | |
6 | 栂池山荘 | ○ | 80 | ○ | 6月上旬 | 10月下旬 | ||
7 | 栂池ヒュッテ | ○ | 80 | ○ | 6月上旬 | 10月下旬 | ||
8 | 白馬鑓温泉 | ○ | ○ | 150 | 15 | ○ | 7月下旬 | 9月下旬 |
白馬岳山域の山小屋は白馬山荘を筆頭い大人数収容可能の山小屋が多いのが特徴です。それだけ登山者が多いということですが。
また、白馬山荘と白馬岳頂上宿舎の2つの山小屋が10月中旬まで営業していているのはありがたいですね。7月8月のハイシーズンの山小屋は激混みですが、営業終了間際の頃になると、週末でも比較的空いてると思います。
北アルプスの山小屋については以下をご確認下さい。