今回は一ノ沢登山口から登る常念岳のご紹介です。槍ヶ岳や穂高に比べるとマイナーですが、その分人は少なく難易度は低めなのでオススメです。
ですが、個人的には常念岳は、「難易度低め」がいつしか「簡単に登れる」にすり替わって「思ってたよりしんどかった」に至る山だと思っています。
槍や穂高に比べると人が少ないのは間違いありません。体力的にも、技術的にも難易度は下がります。が、勝手に下方修正しすぎないように。「山を舐めるな」を合い言葉に登って下さい。
登山口・一ノ沢へのアクセス方法
常念岳の登山口である一ノ沢には穂高駅(安曇野穂高)か山科駅からタクシーを使うことになります。バスは運行していません。ご注意下さい。
山科駅 ~ 一ノ沢 : 所要時間55分 料金 約5900円
東京からであれば、一ノ沢直通便の夜行バスが運行しています。東京から一ノ沢までの直通便の詳細はまいたびのHPをチェックです。
東京、大阪から安曇野穂高までは夜行バスが運行しています。詳細はアルピコ交通のHPをご確認下さいな。

一ノ沢登山口の駐車場
一ノ沢にはマイカーでもアクセスできます。登山口から1kmほど下ったところに無料の駐車場があります。駐車可能台数は30台程度でしょうか。登山口から100mほどのところにも駐車スペースがありますが、こちらは一般登山者は利用できません。
登山口は以下の地図の北西方向。地図を少し左上にスクロールして拡大すると道路の終点に表示されるトイレが一ノ沢登山口です。
常念岳のルート図
今回は一ノ沢から登り、常念小屋で1泊して翌日、常念岳山頂に登って一ノ沢まで下るピストンルートのご紹介です。今回のルートが常念岳に登る最短ルートになります。
ルート断面図を見ると、終始単調な登りが続くように見えますがさにあらず。常念小屋からの急登はけっこうキツいです。断面図だと分かりませんが、体感的には傾斜が急になっているように感じます。
ただ、常念小屋から視界が開けて景色が良くなるのでその意味ではテンションが上がって登り易いかもしれません。
コースタイム
今回のコースはそれなりに体力のある人なら日帰りも不可能ではありません。が、普通に登るなら1泊2日が妥当です。
初日は一ノ沢登山口から常念小屋までで4時間35分。余力があれば山頂まで行ってみましょう。が、何度も言いますが、常念小屋からの登りがキツいです・・・。
2日目にご来光目当てに早朝から登るのも良いかと。
一ノ沢登山口 -(1:15)→ 王滝ベンチ -(2:00)→ 胸突八丁 -(1:20)→ 常念小屋
2日目 コースタイム:5:20
常念小屋 -(1:15)→ 常念岳山頂 -(0:55)→ 常念小屋 -(1:00)→ 胸突八丁 -(1:20)→ 王滝ベンチ -(0:50)→ 一ノ沢登山口
2日間合計コースタイム:9:55
ルート定数
ルート定数は37。それほど高くないので、体力的難易度はそれほどではありません。が、個人的には常念岳は登ってみたら意外としんどかった山の一つです。ご注意を。

ちなみに、室堂から登る剱岳が41.1で同じくらいの大変さです。ただし、あくまで同等なのは体力度であって危険度は別。明らかに剱岳の方がデンジャラスで技術的難易度は上です。
当たり前ではありますが、小屋泊かテント泊かで体力的難易度は大きく変わります。また、テント泊でも常念小屋に荷物をおいて山頂にアタックするのか、荷物全てを背負って蝶ヶ岳まで縦走するのかでも難易度は変わります。
常念岳と百名山のルート定数やグレーディング表はこちらにまとめてます。
常念岳登山におすすめサプリ
常念岳登山のお供として、9割以上のアスリートが疲労回復に効果ありと答えたアミノバイタルゴールドがおすすめです。僕自身、これを登山中に飲んだら筋肉痛が軽くなって驚いています。
アミノバイタルゴールドついてはこちらで紹介しています。
おすすめ行動食・えいようかん

登山中の体力維持にはこまめな栄養補給が欠かせません。特に必要とする栄養素はエネルギーに変わりやすい糖質。
糖質を多く含み、行動中も食べやすく何より美味しいものという意味では、えいようかんを推します。
単純な100gあたりの糖質量であれば、飴の方が多いのですが、飴を100g食べるのはけっこう大変ですしかさばります。その点、えいようかんはコンパクトで◎。
「えいようかんなんて知らん」という方も多いかもしれませんが、試しに食べてみて下さい。美味いです!
ちなみに、以下のページでおすすめの行動食10選をご紹介しています。
山頂の月ごとの気温
常念岳山頂の月ごとの平均気温、最高気温、最低気温をまとめました。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高 | -11.8 | -10.1 | -5.3 | 2.3 | 8.2 | 12 | 15.7 | 16.4 | 12.1 | 5.7 | -1.1 | -8 |
平均 | -14.9 | -14.5 | -10.5 | -3.3 | 2.3 | 6.6 | 10.8 | 11.1 | 6.9 | 0 | -5.6 | -11 |
最低 | -19.6 | -20.9 | -15.6 | -9.2 | -3.5 | 1.5 | 6.1 | 7.1 | 2.9 | -5.6 | -10.3 | -15.6 |
一般的に天候は西側から変化します。常念岳は北アルプスの最も東側に位置し、西ににそびえる槍や穂高連峰、鷲羽岳、黒部五郎、笠ヶ岳といった高峰に雨雲が遮られることが多いため、常念岳の天候は比較的良くなりがちです。
常念岳の標高は2857m。毎回言ってることですが、8月でも風速10m/s以上の風が吹くと8月でも耐寒温度は0度を下回ります。防寒着必携。
今回のルートで使用する常念小屋の営業期間は4月下旬から11月上旬までで北アルプスの山小屋としては営業期間が長いです。4月や11月だと気温がマイナスで積雪もあるかもしれませんが、山小屋をあてにできるのは心強いです。
ただ、常念小屋から山頂までの登りは傾斜がキツいので積雪期は注意して下さい。雪を気にせず登れる登山適期としては7月上旬から10月上旬あたりになるかと思います。
※上記の表は、国土交通省が平成24年に作成したデータを元に算出しています。エリアごとの平均標高と平均気温に対し、標高100m上昇するごとに気温が0.6度低下する前提で求めたあくまでも推定値です。
常念岳ルートガイド
1日目:一ノ沢~常念小屋
一ノ沢にはバスが運行していないのでタクシーで移動します。一ノ沢登山口が登山指導所になってます。登山届を出して登りましょう。

一ノ沢と名の付く通り、沢を登っていくルートになります。

稜線上にある常念小屋に出るまでは視界は開けず、それほど危険な箇所もありませんが、ガスっていると足場には気をつけましょう。

登り始めて4時間半で常念小屋に到着です。テント場はすぐそば。この日に山頂に登らないのなら、一ノ沢から登り始めるのが10時頃からでも何ら問題ありません。
が、ここのテント場は意外と混みます。到着が遅れるとトイレの前しか空いてなかったりしますので、早めに到着するにこしたことはありません。


2日目:常念小屋~常念岳山頂~一ノ沢
二日目は常念岳山頂に登り、折り返して一ノ沢まで下山します。天気が良ければ朝日に輝く槍ヶ岳が眺められます。是非早起きしましょう!

体がまだ目覚めきってないうちに激坂を登らないといけないのが常念岳の大変なところです。ですが、傾斜が急な分、ぐんぐん高度が上がり視界が開けます。遠くに見えるのは大天井岳。さらに奥には燕岳があります。

常念小屋から1時間15分で常念岳山頂です。このときは雲海に広く覆われていて素晴らしい眺めでした。雲海バックの登山者が良い感じです^^

西側には穂高連峰が。左から前穂高、奥穂高、涸沢岳、北穂高です。

景色を堪能したら常念小屋まで下りましょう。朝食を食べて一ノ沢まで元来た道を3時間程度下ります。一ノ沢登山口からバスは運行していません。もしタクシーが必要なら、登山口に到着する手前で携帯の電波が届くようならあらかじめ電話しておくと良いかもです。
山小屋・テント場

今回のコースでは使用する山小屋テント場は常念小屋だけなので、日帰りで登らない限り常念小屋一択になります。常念小屋のテント場は槍ヶ岳に面していておすすめです。
山小屋/テント場 | 収容人数 | テント張 | 風呂 | 営業開始 | 営業終了 |
---|---|---|---|---|---|
常念小屋 | 200 | 40 | 4月下旬 | 11月上旬 |
常念岳が掲載されている地図は以下。
常念岳に至る縦走路
今回ご紹介したのが常念岳の一般的なコースかと思いますが、常念岳は縦走路に組み込むこともできます。
中房温泉から常念山脈
中房温泉から登って燕岳を皮切りに槍ヶ岳に至るのが表銀座コースですが、大天井岳を西に進むと常念山脈の縦走路になります。表銀座に比べて危険度、体力的難易度が低いので不安な方はこちらがオススメです。所要日数は2泊3日です。
上高地から蝶ヶ岳経由の常念岳
二つ目は上高地から登るルート。上高地からしばらく歩いて徳澤へ。そこから長塀尾根を登り蝶ヶ岳に登り、北に縦走して常念岳にを経て一ノ沢に下るルートです。上高地から徳澤までは登山者多数ですが、徳澤以降は静かな山行が楽しめると思います。こちらも所要日数は2泊3日です。