以前も書きましたが、山の体力度を測るにはルート定数を調べるのが良いです。ルート定数とは、客観的に体力度を示した指標で以下の式で表されます。この式を用いて山の難易度を表にまとめたのが山のグレーディング表です。
ルート定数は以下の式で表されます。この計算式を知っていれば、自分が歩いたルートのルート定数を計算することもできます。
コースタイム(時間) ✕ 1.8 + ルート全長(km) ✕ 0.3 + 累積登り標高差(km) ✕ 10.0+累積下り標高差(km) ✕ 0.6
そこで今回はおススメの縦走路のルート定数を計算してみました。この値である程度、その縦走路の難易度がわかります。
谷川岳馬蹄形縦走
谷川連峰の主だった山を一泊二日で歩く谷川を代表する縦走路です。今回ご紹介したルートの中では最もルート定数が低い結果でした。
2000mに満たない山の縦走ですがあなどるなかれ、です。ギリギリ一泊二日で歩けてしまうため1日の歩行時間が長くなるのがコースのやらしいところ。そして、谷川岳馬蹄形縦走の特徴はなんと言っても激坂サンドイッチです。
登山開始と同時に白毛門までの急坂、そして下山は日本三大急坂の一つ、西黒尾根を下ります。もう一度言います。谷川をあなどる無かれ。
谷川岳馬蹄形縦走が掲載されている地図はこちら。
表銀座
燕岳から槍ヶ岳を歩く、北アルプスで一番メジャーな縦走路です。メジャーですが歩くのは簡単ではありません。3泊4日は必要で道中危険な個所もあります。大変ではありますが、歩く価値のあるルートです。
まずは合戦尾根を登ります。北アルプス三大急坂に数えられるだけあってなかなかの急坂ですが、晴れていれば樹林帯からの木漏れ日が美しく気持ちのよい道でもあります。
ルート断面図を見れば分かりますが、合戦尾根を登り切って以降はしばらく大きなアップダウンはありません。槍ヶ岳手前で一度下ってからの登り返しがキツいですが、こちらも景色良好で徐々に大きくなる槍ヶ岳を眺めながらの登りになるので上がったテンションで乗り切れると思います。
表銀座が掲載されている地図はこちら。
裏銀座
表銀座と対をなすルートです。表よりもルートが長く体力が必要です。ルート定数も跳ね上がって111.1!ですが表よりも危険度は低く人は少なめなのでおススメです。3泊4日の行程で利用するテント場が◎。
最初のキツい登り、ブナ立尾根は北アルプス三大急坂と日本三大急坂の二冠に輝く由緒ある?激坂です。危険度は表銀座より低いですが、何気にアップダウンが多いです。個人的には真砂岳から水晶小屋のあたりと西鎌尾根がキツいかと。
裏銀座が掲載されている地図はこちら。ルートが長いので2つの地図にまたがります。
西銀座ダイヤモンドコース
西銀座ダイヤモンドコースはあまり聞きなれないかもしれません。折立から黒部五郎岳、三俣蓮華岳、槍ヶ岳を踏破するコースです。裏銀座よりもさらに静か。写真は黒部五郎小舎です。立地最高。
結構アップダウンが多くルート定数が99.7で表銀座よりも大変です。表銀座を踏破した次のステップとするのが吉です。三俣蓮華岳以降は裏銀座と同じルートをたどります。
西銀座ダイヤモンドコースが掲載されている地図はこちら。西銀座もルートが長いので2つの地図にまたがります。
槍穂高縦走
北アルプスの代表的な二つの山を縦走する贅沢かつデンジャラスなルート。北からの槍ヶ岳→穂高ルートの方がまだ安全でしょうか。大キレット、北穂から奥穂高間が山場です。非常に魅力的なルートですが、北アルプスの人口密集地帯を繋ぐコースなので静かな山行をしたい人にはあまりお勧めできません。
そして上高地から10km以上続くなだらかな登りが地味にツラいです・・・。
槍穂高縦走が掲載されている地図はこちら。
後立山連峰縦走
扇沢から鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳を縦走する難関ルート。裏銀座以上のルート長と表銀座以上の危険度を備えてます。ルート定数は今回の中で最も高く127.5。途中、不帰キレット、八峰キレットという二つの難所がありきが抜けません。
断面図を見て下さい。凹凸がえげつないです。ルート全長は西銀座や裏銀座の方が長いにもかかわらずルート定数が高くなる理由がこれです。のんびり景色を楽しみながら、とはいかないのが後立山連峰。それなりの覚悟がいります。
ちなみに、白馬岳から栂池高原ではなく西側の祖母谷温泉に下るルートもありますが、しんどいし侘しいのでおススメしません。
後立山連峰が掲載されている地図はこちら。
白峰三山
南アルプスの代表的な縦走路。北岳、間ノ岳、農鳥岳という3000m級の山を三座踏破するダイナミックなルートです。ルート断面図から読み取れる山容は南アルプスらしくなだらかです。ですがそれは決して楽であることを意味しません。ご注意を。
ですが、北アルプスに比べると人が少なく静かな山行が楽しめるのは◎ですね^^
白峰三山が掲載されている地図はこちら。
まとめ
各縦走路のルート定数を表にまとめました。ルート定数はあくまで目安です。何泊かけて歩くのかによって難易度は変わります。谷川岳馬蹄形縦走なんかは2泊3日でも良いくらいです。あまり過信しすぎずに参考程度に見て頂ければ。
縦走路 | コースタイム | ルート全長 | 累積登り標高差 | 累積下り標高差 | ルート定数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 谷川岳馬蹄形縦走 | 17.2 | 23.35 | 2.348 | 2.263 | 62.8 |
2 | 表銀座 | 22.15 | 31.45 | 2.786 | 3.113 | 79 |
3 | 裏銀座 | 30.55 | 46.25 | 4.007 | 4.166 | 111.4 |
4 | 西銀座ダイヤモンドコース | 27.55 | 43.59 | 3.478 | 3.707 | 99.7 |
5 | 槍穂高縦走 | 27.15 | 34.05 | 3.166 | 3.16 | 92.6 |
6 | 後立山連峰 | 41.4 | 38.39 | 3.942 | 3.477 | 127.5 |
7 | 白峰三山 | 19 | 23.26 | 2.373 | 3.09 | 66.8 |
今回は縦走路のルート定数をまとめましたが、激坂編はこちら。
関西の三大トレランコースのルート定数はこちらにまとめています。